飼育・育て方
プレーリードッグの飼い方 初期費用や食餌、注意点
ずんぐりとした身体に、豊かな感情表情をもつプレーリードッグ。
日本ではまだなじみの薄い動物ですが、野生味を持ち合わせている半面、一度飼い主さんとの間に信頼関係ができると、寂しがりやで積極的に甘えてくるなどの可愛らしいしぐさを見せてくれます。
ケージの中で飼育ができるだけでなく、お部屋の中で放し飼いにしたり、ハーネスを付ければ公園などへ連れ出すことができるので、飼い主さんの生活スタイルに合わせやすいことが言われています。
しかし、飼い主さんが愛情を与えているつもりがストレスに繋がっていたり、ケガや病気を招くことが少なくありません。
プレーリードッグと楽しく暮らすためには、どのようにお世話をすれば良いのでしょうか。こちらのページではプレーリードッグの飼い方についてまとめてみました。
飼育用品だけでなく、習性や注意点などもしっかりと学び、飼い主さんと安心して暮らせるよう準備にお役立てくださいね。
1:プレーリードッグについて
名前に「ドッグ」とついていますが、プレーリードッグはリスの仲間です。
オグロ、オジロ、メキシコ、などいくつか種類がいますが、日本でもっともポピュラーなプレーリードッグは尻尾が黒い「オグロプレーリードッグ」です。
体長は約30センチで、淡い茶色い身体に尻尾の先が黒い色をしているのが特徴です。寿命は6年から10年前後と言われ、野生よりも飼育下のプレーリードッグの方が長生きするようです。
野生のプレーリードッグは草原に穴を掘り、巣にします。
1頭のオスと数匹のメスや子供たちと家族を作り、複数の家族で集団生活をすることが特徴です。巣穴は数メートルにも及ぶ長いトンネルで複数の部屋をつなぎ、多い時には100匹以上の集団で暮らしています。巣穴の中で他のプレーリードッグと出会えば鳴き声やスキンシップで挨拶を交わします。メスは子育ての際、別のメスの子供に母乳を飲ませることもあり、仲間同士のコミュニケーションをとても大切にする動物です。
プレーリードッグは草などを主に食べる草食ですが、時折バッタなどの昆虫を食べることがあります。
地上には、巣穴の近くで見張り役のプレーリードッグが交代で巣を守ります。キツネやイタチなどの敵を見つけると「キャンキャン」とワンちゃんに似た甲高い声で仲間に危険を知らせます。
その際2本の後ろ脚で立っている姿が見られますが、こちらは警戒している時のサインです。遠くまで見渡すことができる視力を持ち、巣穴の近くに背の高い草があれば刈るなどして常に敵を見つけやすいようにしています。
秋になると繁殖の時期を迎え、縄張り争いが始まります。そのため、飼育下でもオスのプレーリードッグは気が荒くなることが多いです。春頃になると家族も増え、オスのプレーリードッグは巣穴をメスや子供たちに与えて出て行くことがあります。
プレーリーとは「草原」を表し、鳴き声がワンちゃんに似ていることからプレーリードッグという名前が付けられましたが、声の大きさはワンちゃんほど大きくはありません。
「キャンキャン」という鳴き声の他に「キュー」「ウウー」などと鳴くこともあり、感情表現は実に豊かです。
意志の疎通がしやすいこともプレーリードッグの魅力の1つといえますが、飼い主さんが早く仲良くなろうとし過ぎると返って警戒心を高めることになりかねません。
どのペットでも言えることですが、ご自宅に迎えたばかりの頃はケージに慣れるだけでも大変です。エサやお水の交換以外はそっとしてあげましょう。
個体差はありますが、3日ほどしてから徐々にコミュニケーションを取ると慣れやすくなると言われています。
2:必要なものと初期費用について
プレーリードッグは集団で生活をする習性があるため、子供の頃から単独で飼うと飼い主さんを仲間とみなし慣れやすくなると言われています。
上手に愛情を注ぐと、自分の名前を覚えたり飼い主さんと他の人を見分けることができるようになり、甘えん坊な一面が見られるようになります。
逆に飼い主さんがあまりお家にいなかったり、遊ぶ時間が作れない場合は寂しさのあまり、自分の身体を噛んだりして傷つけてしまうことがあります。プレーリードッグと一緒に暮らすためには、適度なスキンシップが必要ですので生活スタイルとよく検討することが大切です。
プレーリードッグをお家に迎えることが決まったら、複数のペットショップに足を運ぶことをおすすめします。プレーリードッグは人間と同じ昼間に活動しますので、夕方や夜ではなくお昼の時間帯に行きましょう。プレーリードッグを見かけたら、毛並みはきれいか、目ヤニや鼻水の他に、歩き方に問題はないか、などをチェックします。
ペットショップがきれいかどうか、店員さんの接し方も重要なポイントです。プレーリードッグを触らせてもらえるようであれば、頼んでみると良いですね。
プレーリードッグは数万円から20万円前後で売られていますが、時期や年齢によっても異なります。繁殖時期は冬から春先ですので、1月から4月頃に店頭で見かけることが多いです。
飼うことが決まったら、ケージや小屋はどうするか。エサは何を食べさせるのか。体調を崩した時のために動物病院を探すなど、様々な準備を始めます。
まずケージの大きさは、単独で育てるのであれば60×80センチ以上の大きさをおすすめします。狭いと運動不足やストレスに繋がるので、できる限り底面積の広いものを用意しましょう。
プレーリードッグは立つことが多いので、窮屈感をかんじさせないためにも高さは60センチ前後あると良いですね。
ケージだけでなく、同じくらいの大きさの水槽でも飼育ができます。湿気がこもりやすいので衛生面では特に注意が必要ですが、冬場は保温に役立ちます。
飼い主さんの中には季節によって使い分ける方もいらっしゃいますので、1年を通してどのような環境にするのか、あらかじめ計画を立てておくことをおすすめします。
ケージは5,000円前後から購入可能ですが、長く使うものですので掃除のしやすさやなども考慮して購入しましょう。ワンちゃんやネコちゃん用の金網が太いものでも代用が可能です。
ケージが決まったら、牧草やワラ、干し草などの床材を入れます。綿や木材チップは脚に引っかかったり、アレルギー反応や臭いなどがストレスになることもあるた注意が必要です。
ケージや床材が整ったら、巣箱、エサ箱、給水器、トイレを入れます。
巣箱は1,000円前後から購入できますが、プレーリードッグは硬いものを噛んで歯をすり減らすため、プラスチックではなく木の素材をおすすめします。
エサ箱は手をかけてもひっくりかえらないように、陶器などの重みのあるものが良いでしょう。水は陶器などに入れるとこぼすなどして不衛生に繋がることがありますので、ハムスター用の小さい給水器をおすすめします。飲みやすい位置に取り付け、毎日新鮮な水が飲めるようにしましょう。
トイレのしつけは個体差がありますが、おおむねケージの隅といった同じ場所で排泄をすることが多いです。
尿などの臭いがついた巣材をトイレに入れておくとその場所で排泄するようになりますが、なかなか覚えられないことがあります。トイレで排泄をした際は軽く褒めるなどし、失敗してもしからないように大らかな気持ちで取り組みましょう。
他にも、回し車などのおもちゃが市販されています。
飼育下のプレーリードッグは肥満になりやすいため、スペースがあればおもちゃを入れて運動不足にならないようにしましょう。回し車は手足の指を引っ掛けてケガをしないように、隙間のないタイプをおすすめします。
3:食餌について
プレーリードッグはウサギなどと同じ草食の動物です。
普段のエサは牧草やラビットフードなどを中心に与えると良いでしょう。ドッグフードは肥満の原因になりますので、おすすめはできません。
また、小松菜、キャベツ、ニンジン、トウモロコシ、かぼちゃや大根の葉など、人間が食べる野菜と同じものを食べることができます。アクの強いホウレンソウや、ねぎ類、にんにく、しょうが、は刺激が強いので与えないようにしましょう。他にもお菓子などは誤って食べないように注意が必要です。
プレーリードッグにエサを与えるタイミングは、1日1回朝が良いでしょう。前日に残したエサに追加するのではなく、新鮮なものと取り換えます。他にも果物やナッツ類、ペット用の煮干しも時々加えることが必要です。
飼い主さんのお家に来て3日から1週間ほどすれば新しい環境にも慣れてきますので、仲良くなるためにも手からエサやおやつを与えると良いでしょう。プレーリードッグは肥満になりやすいので、可愛さのあまり与え過ぎないように注意が必要です。
4:注意点について
慣れてくると人懐っこいプレーリードッグですが、飼い始めは環境の変化にとまどい警戒心から攻撃的になります。
目を吊り上げたり、尻尾をブラシのように膨らませたりしている時は怒ったり、興奮している時に見られるサイン。むやみに手を出すと、引っ掻いたり噛みついたりすることがあります。そのような時は、飼い主さんは慌てずそっとしておくなどして、大きな声を出したりしないようにします。
最初は時間をかけて、優しく名前を呼んだり、手からエサを与えるなどして慣らしていくことが大切です。安全が確認できれば、徐々に人懐っこい性質が現れます。顎の下をなでたり、床に座った状態で抱っこするなどしてコミュニケーションを深めると良いでしょう。
目を細めたり腹這いになる時は、甘えたりリラックスをしている時に見られるしぐさです。一緒に過ごす時間を重ねることで、飼い主さんもプレーリードッグの気持ちに気付きやすくなります。
同じプレーリードッグでも性格が少しずつ異なりますので、他のプレーリードッグの慣れ方と比べたり、慌てたりしないようにしましょう。もともと警戒心が強い一面がありますので、無理をさせずに根気よくコミュニケーション取ることが大切です。
また、飼い主さんによっては放し飼いにする方もいらっしゃるかもしれません。
ずっとケージの中だけで生活をしていると、ストレスや運動不足に繋がります。時には飼い主さんの監視のもと、部屋の中を自由に遊ばせることは様々なメリットがあります。
しかし、人間が思っている以上に、お部屋の中での事故が多く発生しています。お菓子などを誤って食べてしまったり、高い所からの落下は十分注意しましょう。
電気コードや家具などをかじることがありますので、カバーをかけるなどあらかじめ整えておくことをおすすめします。冷蔵庫の隙間に入り込み、断線させてしまうプレーリードッグもいるようです。
感電や火災などに繋がりますので、お部屋の状態を念入りにチェックしましょう。
多くのプレーリードッグはかじることが大好きなので、ある程度家財が傷付くことは念頭に入れておく必要があります。
忘れがちな観葉植物などの植木も、プレーリードッグが食べたり土を掘り返すことがありますので他の場所へ移すようにしましょう。植物の種類によっては、プレーリードッグが体調を崩すこともあります。
また放し飼いをする際は、トイレのしつけができるかどうかも重要なポイントになります。
うまくいったケースは、プレーリードッグが使いやすい位置にトイレを置くなどして、排泄しようと動きが止まったタイミングでトイレへ連れて行くことを繰返すなどがあります。
失敗しても叱ったりはせずに根気よく続けるか、ワンちゃん用のサークルを使用し、遊ばせる範囲に制限を設け、排泄してもいいようにシートを敷くことも一案です。
また網戸などは鋭い歯で穴を開けることができますので、脱走には十分注意しましょう。飼い主さんとプレーリードッグがお互いに気持ち良く過ごせるように、常に工夫をすることが大切ですね。
5:暖房・冷房対策について
野生のプレーリードッグが住む北アメリカの草原は、夏の暑さは40度にのぼり、逆に冬は氷点下まで下がるなど、温度差が激しい地域です。
そのため飼育下のプレーリードッグも暑さや寒さに強いと思われがちですが、地下に延びる巣穴の気温は平均15度前後と安定しているため、意外にも温度の変化には弱いと言われています。
室温の調節は、プレーリードッグを健康的に育てる上で大切になります。特に冬場はお部屋の中でも地域によっては大変寒くなります。
プレーリードッグは冬眠をしないため、気温が下がると仮死状態となります。最適な温度は20度前後です。体調を崩したり亡くなることがありますので、冬でも15度を保つようにしましょう。
暖房対策は地域によって異なりますが、朝と夜は毛布や段ボールでケージを覆ったり、冬の間だけケージを水槽に変えると急激な気温差が生じにくくなります。
秋頃からは巣材を多めに入れ、必要であれば市販されているペットヒーターなどを使用すると良いでしょう。その際、暑過ぎた時にプレーリードッグがよけられる部分を作り、コードはかじられないようにケージの外へ出すなど配慮が必要です。
エアコンだけで十分管理ができるという飼い主さんもいますので、ご自宅のプレーリードッグの様子を見ながら調整すると良いでしょう。
また夏場は部屋を閉め切った状態にしておくと、40度近くになることがあります。熱射病を招く危険がありますので、冬と同様に温度管理はとても大切です。
飼い主さんがお部屋の中にいれば様子を観察できますが、不在になる際はクーラーをタイマーの設定にして使用することをおすすめします。他にも除湿や窓を開けるなどして常に換気を行い、クールシートや凍らしたペットボトルなどで涼しい場所を作る飼い主さんもいます。
季節の変わり目は温度差が生じやすくなりますので、無理をさせないように気を付けるようにしましょう。
6:病気について
飼い主さんが愛情を注ぎ、普段からお世話に気を付けていても、プレーリードッグが病気になってしまうことがあります。
ワンちゃんやネコちゃんと比べて、プレーリードッグなどの小動物は診察ができる動物病院も限られていますので、いつそのような事態が生じてもすぐに対応ができるように、事前に準備をしておくことが大切です。
また同じ動物病院でも、獣医師によって得意な分野があります。インターネットやペットショップなどで情報を探し、できるだけかかりつけのお医者様と出会っておきましょう。
見つかった際は、病気になる前に健康診断を受けておくことをおすすめします。健康状態だけでなく飼い方のアドバイスが聞けるのであれば、お互いの環境を整えることに役立ちます。
どのペットにも言えることですが、「いつもと違う」という異変に気付くことが大切です。
元気があるか、食欲はあるか、排泄の状態はどうか、目ヤニや鼻水などが出ていないか、身体にしこりがあったり、しぐさなどに違いがないか、などは普段から観察するようにしましょう。
また、異変に気付いたにも関わらず、様子を見るなどしたために症状を悪化させるケースが多くあります。いつもと違う様子があればすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
症状から色々な原因が考えられますので、普段の様子も合わせて獣医師にどのような状態なのかを伝えることが大切です。
食欲がない際は、消化器の病気や感染症、不正咬合などが考えられます。
下痢の場合は、細菌感染や寄生虫、中毒などの他に、ストレスといった心因性の原因によって引き起こされることがあります。
また、尿がピンク色をしている際は、血尿の可能性がありますので見逃さないようにしましょう。尿路結石や細菌などが原因で生じる膀胱炎などが考えられます。エサのバランスや、水分量は健康を維持する上で重要なポイントになります。膀胱炎は床材が不衛生であったり、遺伝や高齢が原因になることがあります。
鼻水やくしゃみ、目ヤニなど風邪と呼ばれる症状も、悪化すると命を落とす危険性があります。一過性のくしゃみであれば問題はありませんが、数回見られる際は病気を疑うようにしましょう。
肥満にならないように、食餌や運動不足も定期的に見直すことをおすすめします。
7:繁殖について
冬頃になると、プレーリードッグは繁殖期を迎えます。
オスは神経質になり、個体によっては飼い主さんであっても触られるのを嫌がることがありますので落ち着くのを待ちましょう。どうしても触らなければならない際は、軍手などを付けることをおすすめします。
性格にもよりますが、オスを2匹以上で育てている際はケンカをさせないように別にすることも必要です。
普段よりも巣材を多めに入れ、エサのバランスに気を付けます。いつでも食べられるように牧草などを入れておくと良いですね。
メスの妊娠期間は33日前後で1度に平均3匹の子供を産みます。子供は目も見えていない状態で産まれ、50日ほどはメスの母乳で育った後に巣から出てきます。1年で大人の大きさになり、子供も繁殖が可能となります。
8:その他のお世話のポイントについて
飼い主さんによっては公園などを一緒にお散歩するなどして、プレーリードッグとの触れ合いを楽しんでいます。
個体差がありますが、ハーネスを付けて外へ連れて行けることもプレーリードッグの魅力です。
しかし、飼い主さんが良かれと思っていても、思わぬケガやストレスを招くことがあります。お部屋の中でも一緒に遊ぶことができますので、ご自宅のプレーリードッグに無理をさせないようにしましょう。
プレーリードッグが飼い主さんにどれだけ懐いていても、野生の警戒心がなくなるわけではありません。連れて行く際は、静かな公園などで様子を見ながら歩かせるようにしましょう。
プレーリードッグがその場所を好むようであれば、気分転換や運動不足の解消にも繋がりますね。
必ずハーネスを付け、放さないようにします。ハーネスはペットショップなどで市販されていますので、子供の頃から少しずつ慣れさせておくとスムーズです。
外出する際は、排気ガスやワンちゃんの排泄物で汚染された草などを食べさせないようにします。感染症や寄生虫などが原因で病気に繋がる可能性がありますので、必ず状態をよく確認しましょう。
また、砂遊びも大変喜びます。
トイレ用の砂などを大きめの容器に入れて砂遊びをさせると、お家の中でも遊ぶことが可能です。その砂の中で排泄をすることがありますので、衛生面では配慮し定期的に替えるようにしましょう。
プレーリードッグはシャンプーの必要はありませんが、代わりにブラッシングはすることをおすすめします。
特に夏や冬は毛が生えかわる時期ですので、優しくブラシを当ててあげましょう。その際スキンシップを取るだけでなく、肌の状態やしこりなどがないかも確認します。
発疹やしこりなどは病気の可能性がありますので、見逃さないようにしましょう。
プレーリードッグは優しく名前を呼ばれることで、覚えることがあります。
飼い主さんが帰宅すると嬉しそうに鳴き声を発したり、すり寄ってくることもあります。お部屋に放した際に後追いをする姿は、本当に可愛らしいものです。ご自宅に迎えた際は少しずつ信頼関係を築き、楽しい共同生活を過ごせるといいですね。
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