飼育・育て方

日和見感染症とは?免疫力低下から起こる感染症 予防から治療法まで

ワンちゃんが何らかの原因で免疫力が低下してしまった際には、普段ですと感染しないようなウイルスなどに感染してしまい様々な症状を引き起こしてしまうこともあります。免疫力が低下した際にあらわれる感染症を日和見感染症と言い、飼い主さんがこの日和見感染症についての知識を持っておくようにすると早期発見、早期治療に役立つのです。

そこで、今回はワンちゃんの日和見感染症がどのようなことが原因になり引き起こされるのか、症状や治療法にはどのようなものがあるのか、予防するために大切なことはなにかということについてお伝えさせていただきます。

犬の日和見感染症とはどのような病気?原因になるものはどのようなものがあるの?

日和見感染症は、ワンちゃんの免疫力が低下した際に、普段でしたら、体内にあっても全く問題のない微生物などが病原性を発揮し、ワンちゃんの身体に様々な症状を引き起こすという病気です。

日和見感染症は原因となる病原菌などの種類によって、現れる症状などが異なり、命を落としてしまうかもしれない危険性もありますので、飼い主さんが日々の生活の中から注意してあげたほうが良いかもしれません。

日和見感染症は、免疫力が低下してしまった際に感染するウイルスや細菌、真菌、藻類が原因になっています。

ここでは、日和見感染症の原因になるウイルスや細菌、真菌や藻類などについてお伝えさせていただきます。

ワンちゃんの日和見感染症を引き起こす原因になるウイルスはパピローマウイルスとロタウイルスやヘルペスウイルスです。

中でも、ロタウイルスは、宿主を選り好みしないため、ほとんどの動物の中からウイルスが発見されています。人間にも感染する病気ですので気をつけるようにしてくださいね。

ワンちゃんの日和見感染症を引き起こす細菌は、アクチノミセス、ノカルジア、マイコプラズマなどです。アクチノミセスやノカルジアなどは重症化すると命を落としてしまうこともありますので注意しましょう。

日和見感染症は、アスペルギルスやカンジタ、ニューモシスチス、マラセチア、クリプトコッカスやピシウム菌などの真菌が免疫力の低下してしまったワンちゃんに感染してしまうことで引き起こされることもあります。

藻類などが原因になる場合は、プロトテカです。このプロトテカに感染してしまうと根治することが非常に難しくなっていますので注意が必要になるのです。

トキソプラズマなどの寄生虫などが原因になり、ワンちゃんが日和見感染症を発症してしまうこともあります。このような場合には症状が重症化してしまうこともありますのでワンちゃんの様子を注意深く観察しておくようにしましょう。

このように、ワンちゃんの日和見感染症の原因になるものは多数あり、その全てについて把握しておくということは難しいかもしれませんが、できるだけ多くの知識を持っておくようにし、何かおかしなことがありましたらすぐに動物病院に連れて行くようにしましょう。

ウイルスが原因になる日和見感染症を引き起こした際の症状と治療法

パピローマウイルスが原因になり引き起こされる日和見感染症は乳頭腫症と呼ばれます。この感染症は、皮膚の上にピンクのイボができるという症状があらわれるようになり、その他にも嚥下困難、よだれ、食欲不振や口臭の悪化という症状があらわれるようになりますので注意してください。

乳頭腫症はほとんどの場合、自然にイボが退縮していくため、特に治療を必要とはしませんが、イボがあまりにも大きいという場合には外科手術などで切除することもあります。

ロタウイルスが原因になり発症する日和見感染症をロタウイルス感染症と呼びます。このウイルスは、ワンちゃん以外の動物にも感染することもあり、人間に感染することもありますので注意が必要です。ロタウイルス感染症を発症した際には、下痢や脱水症状などを引き起こすこともありますので、輸液などを投与し脱水状態を改善するとともに、免疫力をあげるような治療法をとることもあります。

ヘルペスウイルスが原因でヘルペスウイルス感染症を発症した際には風邪に似た症状があらわれるようになり、重症化してしまいますと肺炎を引き起こすこともあります。ヘルペスウイルスには効果的なウイルス薬などがないため、症状に合わせた対症療法をとることが一般的です。

細菌が原因になる日和見感染症を引き起こした際の症状と治療法

アクチノミセスが原因になり、アクチノミセス症を発症した際には、頭頚部の膿腫や痛みや発熱、呼吸困難などの症状があらわれるようになります。重症化してしまいますと、腹膜炎や骨髄炎を引き起こすこともありますので早期に治療を行うようにしましょう。

アクチノミセス症の治療は溜まった膿を排出し、傷口の洗浄を行い、ペニシリンなどの抗生物質の投与が行われます。治療が長期化してしまうことが多いので、根気強く治療を行う必要があります。

ノカルジアが原因になり引き起こされる日和見感染症がノカルジア症です。呼吸困難や皮膚の病変、強膜炎、膿胸、骨髄炎という症状があらわれるようになりますので症状が軽度のうちに治療を行うようにすると良いかもしれません。

ノカルジア症の治療は、抗菌薬の投与で細菌を死滅させるという治療が一般的です。この感染症は、症状が進行してしまいますと命を落としてしまう危険性もありますので注意してくださいね。

マイコプラズマが原因になり引き起こされる日和見感染症であるマイコプラズマ症は、くしゃみや咳、鼻炎などの症状の他に、感染性関節炎、足を引きずる、発熱、元気がなく、ぐったりとしている、結膜炎や眼漏という症状があらわれるようになります。

マイコプラズマ症の治療では、テトラサイクリンやドキシサイクリンなどの抗菌薬を投与するという治療法をとることがほとんどです。

真菌が原因になる日和見感染症を引き起こした際の症状と治療法

アスペルギルスが原因になる日和見感染症であるアスペルギルス症を引き起こした際には、くしゃみや鼻水、鼻血、外鼻孔の色素が失われたり、潰瘍ができるなどの症状があらわれる様になります。アスペルギルスが肺に感染した際には咳、痰や血を吐くようになるという症状があらわれることもあり、病気が進行してしまいますと、発作や痙攣などの中枢神経症状があらわれるようになりますので注意してください。

アスペルギルス症の治療は、抗真菌薬を全身に投与することや、カテーテルを挿入し、抗真菌薬を局所的に投与するという治療法がとられます。アスペルギルスが肺に感染している際には外科手術で病巣を取り除くこともありますので、何かおかしな様子がありましたら早めに動物病院に連れて行くようにし、適切な治療を受けさせるようにしましょう。

真菌の一種であるカンジタに感染することにより引き起こされるカンジタ症は、膀胱炎や、外耳炎、皮膚や爪、膣や肛門などの様々な場所での炎症を引き起こします。炎症を起こした患部は赤くなり、膿疱ができたり、ただれるという症状があらわれるようにもなります。

カンジタ症の治療は抗真菌薬を投与し、真菌の働きを弱めるとともに、基礎疾患のコントロールを行うようにすることで行います。

ニューモシスチスの感染が原因になり引き起こされるニューモシスチス症を発症した際には呼吸困難や咳、微熱、運動を嫌がるようになるという症状をワンちゃんの身体に引き起こすようになります。

ニューモシスチス症の治療では抗真菌薬を投与することや、安静を保つようにするという治療法をとることがほとんどです。

免疫力が低下してしまったワンちゃんがマラセチアに感染してしまいますと、発症する日和見感染症がマラセチア症です。皮膚がベタベタと脂っぽくなり、炎症を起こす様になります。フケが多く出るようになり、強いニオイを発するようになるのです。炎症を起こしている場所に痒みを伴うこともあり、しきりに患部を気にするしぐさを見せることもあります。マラセチア症の治療には、抗真菌薬を投与することや抗菌シャンプーによる皮膚の洗浄などが行われます。

ワンちゃんがクリプトコッカスに感染した場合、クリプトコッカス症を発症します。この病気は、肺などの呼吸器や眼や皮膚、副鼻腔に炎症を引き起こし、鼻筋などが腫れてしまうこともありますし、麻痺や痙攣などの中枢神経症状などの症状があらわれることもありますので注意が必要になります。

クリプトコッカス症の治療は、抗真菌薬を投与し、真菌の働きを弱めるとともに、ワンちゃんの身体にあらわれる様々な症状に合わせた対症療法をとられることがほとんどです。

ピシウム菌への感染で引き起こされる日和見感染症はピシウム症と呼ばれ、病原性が強く、健康なワンちゃんでも発症してしまうことがあります。この病気は、消化管型と皮膚型に分かれており、引き起こされる症状もそれぞれ異なるため、注意してワンちゃんの様子を見るようにしましょう。

ピシウム症の症状は、消化管型の場合には胃や小腸に肉芽腫性の病変が見られるようになります。皮膚型の場合には、皮膚の潰瘍性結節という症状があらわれるようになるため、それぞれに合わせた治療が必要になるのです。

ピシウム症の治療は、病変部を外科的に切除する、イトラコナゾールという抗真菌薬を投与するなどの治療法をとることが多くなっています。

藻類が原因になる日和見感染症を引き起こした際の症状と治療法

藻類の一種であるプロトテカが原因になり引き起こされる日和見感染症のプロトテカ症は、ワンちゃん以外にも、ネコちゃんや人間にも感染する可能性がある感染症です。この感染症は、一度感染すると薬剤などを用いて完治させることが難しく、一度症状が治まったとしても、免疫力の低下が起きると再度発症してしまうこともある病気ですので注意が必要になります。

プロトテカ症を引き起こされた際には、血便や下痢、嘔吐や体重減少などの症状があらわれます。その他にも、皮膚に脱毛やただれがみられ、麻痺や斜頚という神経症状があらわれることもあり、症状が進行してしまいますと、ブドウ膜炎などの眼に関係した症状を引き起こし、最悪の場合には、網膜剥離により失明することもあるので、早期発見、早期治療を心がけるようにしてくださいね。

プロトテカ症の治療は、抗菌薬を投与し、真菌の働きを抑えるとともに、症状にあわせた対症療法をとりますが、プロトテカ症の有効な治療法はまだ確立されていませんので、獣医さんと相談した上でどのように治療をしていくかを決定するのが良いでしょう。

寄生虫が原因になる日和見感染症を引き起こした際の症状と治療法

寄生虫の一種であるトキソプラズマに感染することにより引き起こされる日和見感染症がトキソプラズマ症です。

トキソプラズマ症を発症した際には、ワンちゃんがぐったりと元気がない様子をみせる、下痢や発熱、貧血などの症状が現れるほか、呼吸困難や筋肉痛という症状を引き起こします。症状が悪化してしまいますと、肺炎や脳炎という症状があらわれますので、早期発見、早期治療を心がけましょう。

トキソプラズマ症の治療には、抗生物質や駆虫薬などを投与し、トキソプラズマの駆除をするとともに、症状にあわせた対症療法とることがほとんどです。症状が進行する前に発見することができればワンちゃんの苦しむ時間を減らしてあげることができますので、何かおかしな様子がありましたらすぐに動物病院に連れて行き、適切な処置を受けさせるようにしてくださいね。

ワンちゃんの日和見感染症を予防するためにはどのようなことが必要になるの?

ワンちゃんの日和見感染症を予防するためには、まず、ワンちゃんの免疫力を下げないように飼い主さんが気をつけてあげるようにすることが重要になります。ストレスなどを多く感じてしまっているワンちゃんは免疫力が下がってしまうこともありますので、食事や運動にもしっかりと気をつけ、コミュニケーションをしっかりと取り、飼育環境などを適切なものにしてあげるようにしてください。

それに加えて白血病などの免疫力を低下させてしまう病気を早期発見、早期治療をするようにし、進行を最小限に抑えるようにすると免疫力を低下させずに済むかもしれません。

また、日和見感染症の原因になるウイルスや細菌、真菌、藻類、寄生虫などとの接触を最小限にするとともに、野良犬や病気の可能性があるワンちゃんが多く集まる場所に行く際には、ワクチン接種をさせておくようにし、ワンちゃんの被毛も良好な状態に保つようにすることも日和見感染症の予防には役立つでしょう。

ワンちゃんと遊ぶことは飼い主さんにとって、とても幸せな時間であるとは思いますが、ケガなどをしてしまいますと、そこから細菌などが入り込み、日和見感染症を発症させてしまうかもしれません。ケガにも細心の注意を払うようにすると日和見感染症の予防には効果的だと思いますよ。

ワンちゃんの日和見感染症の原因はさまざまです!予防に努めるようにするとともに、早期発見早期治療を心がけましょう。

ワンちゃんの日和見感染症は、ワンちゃんの楽しい生活を、苦しい物に変えてしまうものですので、免疫力を下げないように毎日の生活の中から工夫し、日和見感染症を予防するようにしてあげてくださいね。

日和見感染症を引き起こす原因はさまざまなものがありますので、その全てについて毎日の生活の中から注意しておくようにすると良いかもしれませんよ。

今回、お伝えさせていただきました情報が飼い主さんとワンちゃんの楽しい毎日を、より良いものにするお手伝いになりますことを願っております。

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