飼育・育て方

【モモンガの飼い方】種類や費用、食餌や飼う際の注意点について

美しい毛並みに、大きな瞳をもつモモンガ。

手を差し出すと嬉しそうに跳び乗る姿に、慣れてくれたことを実感する飼い主さんも多いのではないでしょうか。

夜の森を自由に滑空することでしられるモモンガは、人に慣れやすい一面をもち、比較的珍しいペットとして人気があります。

身体も小さく愛らしい顔立ちをしているので、見ていると飼いたくなる方もいらっしゃるかもしれません。しかしモモンガは夜行性で、トイレのしつけが難しかったり、においが強いことがいわれています。「可愛いから」という理由だけで飼い始めては、後にトラブルになりかねません。飼育用品だけでなく、飼い方全般の知識や習性の把握、体調を崩した際に相談できる動物病院を探しておくことも大切な準備です。

こちらのページではモモンガの習性や飼い方についてまとめてみました。飼う際はきちんと情報を得て、お家を万全な状態に整えてから迎えてくださいね。

1:モモンガの種類について

野生では様々な種類のモモンガがいますが、日本でペットとして親しまれているモモンガは、「アメモモ」の愛称で呼ばれるアメリカモモンガと「フクモモ」と呼ばれるフクロモモンガの2種類が一般的です。

アメリカモモンガはリスの仲間で、リス科アメリカモモンガ属の動物です。同じようにモモンガと名前が付けられていますが、フクロモモンガは全く別のフクロモモンガ属に分けられています。

・アメリカモモンガの特徴
現在ペットショップなどの販売店で並んでいるアメリカモモンガは、国内で繁殖されたものがほとんどです。故郷はカナダ南部からアメリカ合衆国東部、メキシコやホンジュラスなどの国々ですがですが、輸入規制により制限されています。

木の上で生活し、最大の特徴である皮膜を使って木から木へと滑空しながら移動します。長い尻尾でバランスを取り、空中で方向を変えたりカーブを描くことが可能です。風にのると40メートル以上の距離を滑空することができるといわれています。

巣は木の洞を門歯で堀って広げたり、キツツキなどの他の動物が使っていた巣穴を利用します。巣穴を整えた後は、乾燥した草を中心に樹枝や小枝などの巣材を運びます。
モモンガは植物の芽や種子、樹液、キノコの他に、鳥のひなの卵や昆虫なども食べる雑食性です。

アメリカモモンガは子育ての時以外は単独行動ですが、冬の寒い時期は20頭以上の群れを作り、身体を暖め合いながら春を待ちます。

・フクロモモンガの特徴
1980年頃からペットとして店頭に並ぶようになったフクロモモンガは、アメリカモモンガよりも人に懐きやすいといわれています。オーストラリアやニューギニア島などの暖かい地方が故郷です。

フクロモモンガは1匹のオスを中心に、数匹のメスと群れを作って生活をします。リーダーとなるオスは額や胸に臭腺があり、仲間にこのにおいを付けて嗅ぎ分けています。
木の洞を巣穴にして、多い時は10匹以上で暮らすこともあるようです。2メートルから10メートル以上の高い場所に巣を作ります。手先が器用で、木の幹を上から逆さまに降りてくることも可能です。

アメリカモモンガとの違いは寒さに弱いことと、メスのおなかにカンガルーと同じような子供を育てるための袋があることです。

フクロモモンガは出産すると、未熟な状態で産まれた子供が自力でこの袋に入り、母乳を飲みながら成長します。子供は2ヶ月前後で全身の毛が整い、自力でエサを食べられるようになると袋から出てきます。この時期はまだ外には出ずに、親と同じ巣穴で生活をします。

巣穴から出てくるのはさらに1ヶ月から1ヶ月半程経ってからです。成長過程によって大きさは異なりますが、人間の親指くらいの大きさの子供が、メスの身体から振り落とされないように背中にしがみ付きます。メスは森林内で危険がないか注意しながら、一緒にエサを探します。

モモンガは夜行性で夕方頃から深夜に活動します。飼い主さんと一緒に生活をしていると、昼型の生活へと活動時間がずれることもあるといわれていますが、モモンガのストレスになる可能性があるためおすすめできません。

夜に同じ部屋で過ごす場合は、電気を暗くしたり毛布をかけるなどの配慮が大切になります。自然界の状況に合わせ、習性を大切に育てている飼い主さんも多くいらっしゃいます。

ペットショップなどの販売店によって異なりますが、どちらのモモンガも30,000円から50,000円前後の値段が付けられています。

子供の頃から育てると慣れやすくなりますが、大人と比べて身体が弱いので、毎日のケアが大切になります。

寿命は10年前後です。単独で飼った方が、飼い主さんに懐きやすいといわれています。

2:必要なものと初期費用について

モモンガを飼うために、まずはケージを用意します。通気性がよく丈夫なワイヤーケージが良いでしょう。できるだけ広く、ある程度高さがあるケージが理想的です。ペットショップや通販などで、5,000円から10,000円前後の値段で売られています。

ケージが用意できましたら、巣箱、エサ箱、給水器、床材、登り木を入れます。木の上で生活をしているため、巣箱はケージの上の方へ設置しましょう。木製の鳥用の巣箱でも代用できます。

フクロモモンガは匂いに敏感な動物ですので、飼い主さんのにおいのついた布などを巣箱に入れておくと慣れやすくなるといわれています。早く仲良くなりたい場合は、そういった工夫をすると良いでしょう。

エサ箱はケージに固定されたものや、モモンガが体重をかけても引っくり返らないように重みのある容器を準備します。

水はボトル型の給水器を購入すると良いでしょう。たくさんの水を必要とすることはないので、一匹で育てる場合は400円前後の小さいタイプで十分です。お皿などで用意をすると、ひっくり返すなどでモモンガの身体が濡れてしまった場合、乾くのに時間がかかるのでおすすめできません。

夜行性なので、エサやお水は夕方に新しいものと交換します。エサ箱や給水器も毎回洗い、時には煮沸すると清潔を保てます。

モモンガが起き出す前にエサを用意しておくよりも、起き出した後に直接エサを与えるようにします。エサを与えるタイミングを上手に利用して、徐々に慣らしていく方法が一般的です。

床材はトイレシートや新聞紙などを一面に敷いておくと掃除がしやすくなります。モモンガは排泄物や、オスはマーキングによってケージの中はすぐに汚れます。排泄物を飛ばすこともあるので、ケージの周りも掃除がしやすいように、ペットシーツや新聞紙などで家財を保護しておくことをおすすめします。

不衛生なケージは病気の原因にもなりますので、掃除がしやすいように工夫することが大切です。3日に1度は巣箱の中をチェックしたり、床材などを取り換えます。巣箱の中も排泄物が付着していることがあるので、必要であれば洗うようにしましょう。

1ヶ月に1度はケージを丸ごと洗い、日光消毒や煮沸消毒をするといいですね。

登り木は倒れたりしないように、きちんと固定することが大切です。登ったりして遊べるように、ケージの床から天井までの長さがあったり、枝分かれしている形が理想的です。爪の伸び過ぎも防ぐことに繋がります。

定期的に本数を変えたりして、運動範囲を変化させることも大切です。上の位置にある巣箱へ、枝を使ってたどり着けるように設置しても良いでしょう。飼い主さんによっては綱をケージの天井かぶら下げている方もいます。登り降りをすることで運動不足を解消することにもつながるのでおすすめです。

3:食餌について

雑食性のためエサの種類は豊富ですが、バランスを保つことが大切です。野菜は小松菜、ニンジン、サツマイモ、キャベツなどを与えます。果物はリンゴ、ブドウ、イチゴ、ミカン、キウイなど人間が食べるものはほとんど食べることができます。

アメリカモモンガはリス用の固形フードを代用してもよいでしょう。果物や木の実は食べ過ぎると肥満の原因にもなるので注意が必要です。

フクロモモンガは野菜や果物を中心に与えるとバランスがとりやすいようですが、偏食にならないようにします。味覚が発達しているため、固形フードは食べない可能性があります。木の実などはおやつ程度に与えるといいですね。

ペット用の煮干しやゆで卵などの動物性たんぱく質も必要です。茹でたササミやミルワーム、昆虫ゼリーも喜んで食べるので、食べ過ぎには注意します。週に1度くらいのペースで加えると良いでしょう。

お家に迎えてから3日間ほどは、エサとお水を用意する以外は何もせずにそっとしておきます。慣れないうちに過度な触れ合いをすることでストレスになり、かえって警戒を強めることになりかねません。自宅に来るまでの移動も、モモンガにとっては非常に怖いことです。モモンガも環境の変化に少しずつ慣れていきますので、様子をみながらエサを手から与えたり、優しく名前を呼びながら無理のないコミュニケーションをはかりましょう。

また部屋の温度が暑過ぎたり寒過ぎたりしないかも、確認が必要です。部屋の場所によっては飼い主さんが思っている以上に温度差があります。

子供の場合は風邪もひきやすく、最悪死んでしまう可能性があります。春先でも寒い場合はペットヒーターを準備すると良いでしょう。

4:注意点について

モモンガが慣れてくると、部屋に放し飼いをして遊ばせたくなる飼い主さんも多いでしょう。運動不足を解消できる点で放し飼いは有効ですが、思わぬケガや事故を招くこともあります。モモンガは好奇心旺盛ですので、壁なども材質によっては天井まで登ることができます。落下事故に繋がる可能性もあるので目を離さないように注意が必要です。

電気コードなどはかじられたりしないように、カバーを付けておくと良いでしょう。また家具の隙間に入り込んで出られなくなることもあります。あえて隙間を開けておくか、タオルなどでうめておきます。可能であればそのような危険のない部屋で遊ぶことをおすすめします。

ねぎ類やニンニク、人間のお菓子なども誤って口にしないように片づけておきます。水の入ったコップも足をすべらせて水難事故を招く危険があります。家具などはかじられたり、爪で傷つくこともあるでしょう。またケージ内と同様に、排泄やマーキングをすることもありますので、放し飼いにする際はそれなりの覚悟が必要です。

飼い主さんによっては床などが拭きやすい洗面所や、洗い流せるお風呂場で放し飼いにしている方もいらっしゃるようです。そういった場所で遊ばせる場合は、薬品などの危険物がない様に十分注意しましょう。ペットショップで大きめの木を中に入れておけば、遊ぶ範囲も広がりますね。

その他に、「モモンガポーチ」と呼ばれる小型の袋にフクロモモンガを入れて首から下げたりする飼い主さんもいらっしゃいます。素材によって爪などが中で引っ掛かり、手足を痛める原因になります。定期的に中の様子を見る必要がありますね。

ポーチは袋の口が閉じてしまうより、少し開いている形の方がフクロモモンガも不安がらずにすむようです。飼い主さんの中には身に付けている衣類に広めのポケットがあれば、その中にモモンガを入れて休ませる方もいらっしゃいます。

巣箱の代わりにこのモモンガポーチをケージに入れ、持ち運びがしやすいようにしている飼い主さんもいるようですが、どちらにしても「小さな命がすぐそばにある」ということは忘れないようにしましょう。飼い主さんが少し動いただけでも、モモンガにとっては大きな揺れを感じます。可愛いがりたい気持ちばかりでは、モモンガが疲れていることに気付けなくなります。遊ぶ時間を決め、触れ合う際は体調のチェックも忘れないようにしましょう。

5:暖房対策について

秋になると、モモンガは冬ごもりの支度を始めます。

冬に向けて脂肪を蓄えますので、徐々に食欲が増していきます。基本的に適量以上は食べないので、常に食べ物がある状態にしておくと良いでしょう。ナッツ類や動物性たんぱく質もこの時期は増やす必要があります。

アメリカモモンガは寒さに強い動物ですが、単独で育てている場合は様子をみることも必要です。

熱帯地域に生息しているフクロモモンガは寒さに弱いので、秋頃でも20度を下回るならば調節が必要となります。巣材は多めに用意しておきましょう。ワラや新聞紙の他に布なども保温に役立ちます。

室内の温度はエアコンで十分管理できますが、日中に人がいない部屋や地域によって気温がかなり低くなることもあるでしょう。心配であればペットヒーターの使用をおすすめします。暑過ぎると熱中症になる危険もありますので、巣箱の半分だけを暖めるくらいで十分です。

寒くなってくると、巣の中にエサを運ぶことが多くなります。カビなどが生えていないか、数日おきに確認することをおすすめします。冬は栄養と室温に注意することがなにより大切です。

6:病気について

ペットとしてまだ歴史の浅いモモンガは、病気になっても診察できる病院が少ないといわれています。栄養や衛生面で気を付けていても、季節の変わり目などで風邪をひいてしまうこともありますので、元気なうちに対応できる動物病院を探しておきましょう。

モモンガの病気の特徴は、普段と様子が違うことです。

食欲はあるか、目ヤニが出ていないか、毛並みはきれいか、排便は柔らか過ぎていたり便秘になっていないか、くしゃみや鼻水が出ていないかなどが分かりやすい特徴です。

いつもと様子が違うと気付いた時点で、すぐに診察を受けることをおすすめします。

また夕方過ぎても巣から出てこない場合も、体調を崩している可能性があります。身体だけでなくストレスや警戒などでも閉じこもることがありますので、日中は静かな環境を作り、活動時間のバランスが保てているかも改めてチェックすると良いでしょう。

自己診断では症状を悪化させることになりかねませんので、どういった点が普段と違うのかすぐに獣医師に相談しましょう。早期発見をすることで、回復しやすくなります。改善点が見つかれば、その後のお世話もスムーズになるでしょう。

7:繁殖について

アメリカモモンガは2月の終わりから5月までと、7月から9月の年に2回発情し、1度に平均2~3匹の子供を出産します。野生のアメリカモモンガも子育てはメスがすべて行い、オスは交尾が済むと巣の中から出ていきます。飼育下でも妊娠が分かった時点でオスをメスから離すことをおすすめします

フクロモモンガの場合は年に3~4回発情し、1度に平均1~2匹の子供を出産します。野生化では1匹のオスが気に入ったメスを取り合うこともあるようです。

どちらのメスも妊娠すると神経質になりますので、普段以上に静かな環境を作り、栄養のバランスを考えたエサを与えてあげましょう。出産した後も過度なストレスによって子育てを放棄したり、子供を食べてしまう可能性があります。掃除は最低限に控え、子育てをメスにまかせることが大切です。

いかがでしたでしょうか。モモンガの飼育は「初心者には難しい」という声もあります。飼うことを決めた際は、お家に迎える前に飼い方をきちんと把握しておくことが大切です。

飼い主さんの中には、ブログなどを通して飼っているモモンガの可愛らしい姿を公開していますが、モモンガも個体差があり、警戒しやすかったり比較的おだやかだったりと性格も様々です。

特にアメリカモモンガは大人になってから慣れさせようとしても、難しい部分があるといわれています。モモンガから思うような信頼を得られずに、思い悩む飼い主さんもいらっしゃるようです。

子供の頃から飼うと慣れやすくはなりますが、小さいうちは身体が弱いので、付きっ切りでお世話をするくらいの覚悟が求められます。彼らの習性をきちんと理解し、健康管理に十分気を付けて愛情を注ぐことが大切ですね。

ペットと触れあう時間は飼い主さんにとって、幸せなひと時です。お家に迎えたモモンガができるだけ長生きするように、情報のチェックも忘れないようにしましょう。

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