病気・ケガ

猫が血尿を出した!下部尿路疾患ってどんな病気?原因と治療法は?

疲れて帰宅したときでも、ネコちゃんの愛らしい姿をみると癒されますよね。できることならば、毎日健康的にのんびりと過ごしてほしいものです。普段の生活では、特に不健康そうな様子がなくても、ある日、突然病気になってしまうことがあります。

なかでも去勢したオスのネコちゃんがかかりやすい病気が尿石症、メスのネコちゃんがかかりやすいのが膀胱炎です。これらの泌尿器系の病気をまとめて猫下部尿路疾患(FLUTD)といいます。前の日には、異変がなかったのに突然、おしっこをトイレ以外の場所でしたり、苦しそうな素振りを見せたり…。これらの病気は、飼い主さんが事前に存在を知って日々の生活の中でいろんな点をチェックしていれば重症になってしまう前に治療することができます。

今回は、尿石症と膀胱炎の症状や治療法、そしてどのようにすれば、病気になりにくくできるのかという点をみなさんにお伝えします。

なぜ尿石症や膀胱炎になってしまうの?

ネコちゃんの祖先は、砂漠などの水が少ない地域で暮らしていたと言われています。そんなネコちゃんたちが水にたどりつくのは大変なことでした。一番大事なことは、体の水分をなるべく失わないようにすることで、それに伴い排出する水分量がなるべく少なくなるように進化を遂げました。それで今でも体から出す水、つまりおしっこの量がとても少ないのです。

ネコちゃんは凝縮した濃度の高いおしっこを少量することによって、体の水分をキープします。祖先の名残なのか、水もなかなか飲みません。これこそがネコちゃんが泌尿器系の病気にかかりやすい原因なのです。

おしっこの濃度が濃いということは、アンモニアなどの成分も、頻繁にトイレに行く動物に比べると多いということになります。水をよく飲み、おしっこをたくさんしていれば、尿中の有害な成分もサラサラと流れていきますが、濃度が濃く少量しかしないネコちゃんの場合にはそれらの成分が結晶化してしまうことがあるのです。

また、トイレの回数が少ないと、膀胱内で細菌が増えてしまいます。その結果、感染するのが膀胱炎です。これが、ネコちゃんが泌尿器系の病気にかかりやすい理由です。

膀胱炎と尿石症の症状は?注意すべき点は?

泌尿器系の病気の症状が、どんなふうにネコちゃんに表れ始めるのかという点について説明させていただきます。尿石症も膀胱炎もどちらも同じ初期症状から始まります。それは、おしっこをするときに変な鳴き声をあげるということです。尿石症や膀胱炎ではおしっこをする際に痛みが出るようになります。だから、ネコちゃんはおしっこをするときに「痛い!」というような声をあげます。これが最初の症状でしょう。

その後、「おしっこをするときに痛みがあるのはトイレのせいだ」と勘違いしてしまい、トイレ以外の場所でおしっこをするようになります。このあたりで飼い主さんは「何かあったのかな?」と心配になるのではないかと思います。血尿がでたり、尿石症の場合、白い砂状のものが混ざっていたりします。排尿時の様子が何かおかしいなと思ったら、トイレをチェックしてください。

重症化すると、元気や食欲がなくなり、おしっこに行きたがらなくなります。こうなってしまうと大変です!2、3日この状態が続くと重症化するおそれがあるので早めに動物病院にネコちゃんを連れて行きましょう。

ネコちゃんがおしっこをしているところをまじまじと見る飼い主さんはあまりいないと思います。そのため、これらの病気は気づいた時には重症化している場合もあります。日常的にトイレチェックをしていれば、気づけるのかもしれませんが、ある日突然この病気に…という飼い主さんがほとんどではないでしょうか?

現在、ネコちゃんを飼っている方はこれらの初期症状を覚えていると、ある日突然…という場合にも迅速に対応できると思います。

どのような治療するの?尿石症と膀胱炎の対処法!

尿石症や膀胱炎になってしまった際には、まず、動物病院に駆け込むことになると思います。ネコちゃんをキャリーバッグなどに入れる際におもらしをしてしまうことがあるので、トイレシートなどを敷いた方がいいでしょう。その時、大事なことはおもらししてしまったネコちゃんを叱らないことです。ネコちゃんもおもらしをしたくてしているわけではないのです。むしろ、よしよしと慰めてあげましょうね。
 
動物病院では、獣医さんが処置してくれるので安心して任せましょう。主に尿石をとったり、溜まっているおしっこなどを出したりするのが主な治療です。点滴やおしっこを出しやすくなる薬や、尿石を溶かす薬などを使用するのですが、麻酔をかけて、カテーテルを尿道に入れ、膀胱を洗浄する場合もあります。

また、オスのネコちゃんで重症化してしまったたり、再発を繰り返したりする場合は、尿道を短くする整形手術を行うこともあります。

処置を行い、状態が良くなってからも、ネコちゃんは「あのトイレはおしっこするとき痛い思いをしたから嫌だなあ」と思い、トイレ以外の場所でおしっこをしてしまうこともありますが、時間が経てば、それまでと同じようにきちんとトイレでおしっこをしてくれるので、叱らずにゆっくり体調が良くなるのを待ってあげましょうね。

オスのねこちゃんの場合、圧倒的に尿石症の方が発症しやすいと言われています。特に、去勢したネコちゃんで肥満気味だと、この病気を発症する可能性が高くなってしまうのです。理由はいろいろあるのですが、一番の理由はオスとメスでの尿道の長さが違うためです。

オスのネコちゃんの尿道は細長く、カーブしているため、尿石などができてしまった際に、カーブの部分などが、尿石で傷つけられたり、詰まってしまったりします。メスのネコちゃんの尿道は短くて太いため、尿石が詰まったりすることはありませんが、その代わり、細菌などに感染しやすくなっているのです。メスのネコちゃんが膀胱炎になりやすく、オスのネコちゃんが尿石症になりやすいのはこのような尿道の構造が関係しています。

尿石症と膀胱炎は、どちらも去勢された肥満気味のネコちゃんがかかりやすいと言われています。おうちで出来る簡単な対策としては、まずは適度な運動をさせることが第一です。おもちゃで遊んであげる、キャットタワーを用意するなど、方法はいろいろありますが、できれば飼い主さんがネコちゃんとコミュニケーションをとりながら遊んであげるのが良いでしょう。

ドライフードなどを主な食事として与えている方が大多数だと思いますが、「お水を全然飲まないよ…」というネコちゃんの場合は、スープや缶詰のキャットフードなど水分を含んだご飯をたまに与えるのがいいでしょう。膀胱炎も尿石症も、ちゃんと水分を取ってたくさん、おしっこをしていればかかりにくいのです。

そして、大切なことはトイレチェックとトイレ掃除はこまめにするということです。ネコちゃんはキレイ好きな生き物です。トイレが汚いと「ここでトイレしたくないよ…」とおしっこを我慢してしまいます。水分をきちんと取り、オシッコを我慢させないこと。下部尿路疾患を防ぐために、こうした点を飼い主さんは心がけるようにしてください。

下部尿路疾患の予防法は?

日々の生活習慣が引き起こす病気とされる下部尿路疾患ですが、飼い主さんのほんのちょっとの労力などで防げるのです。膀胱炎や尿石症は、こまめにトイレチェックをしたり、トイレを清潔に保ったり、水分をなるべく多めに取らせるといった飼い主さんのちょっとした配慮で防ぐことが可能です。たとえ病気になったとしても、怒らずに優しくゆっくりと見守ってあげましょう。

血尿や、おもらしをするようなことが続いたら、飼い主さんは不安になるでしょう。そんな時は、今回ご紹介したことを思い出して実行してみてください。尿石症や膀胱炎など下部尿路疾患の治療費は、私たちが思っているよりも高額になる場合があります。病気の知識と心の準備があれば、落ち着いて対処できると思います。愛するネコちゃんとの生活がよりよいものになりますよう、願っております。

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