病気・ケガ

犬の感染症と治療について

感染症はワンちゃんの健康を害する病気の1つです。

症状がすぐに出ないものも多く、飼い主さんが気付かないうちに患っていることがあります。感染症の種類によっては、定期的にワクチンを接種しなければならない種類がありますので忘れないようにしましょう。

こちらではワンちゃんの感染症と治療についてまとめてみました。ワンちゃんが元気で長生きするためにも、飼い主さんは知識を持っておくことが大切ですね。

犬の感染症とは何か

感染症はウイルスや細菌などの病原体が体内に入り込み、発生する病気のことを指します。

発症すると様々な症状を引き起こし、免疫力が低下している際などは死亡することがあるので油断はできません。人や他の動物にうつるものがあるので、異変に気付いた時点ですぐに動物病院へ連れていきましょう。

感染症と診断された際は、自宅で過ごす上での注意点や、隔離が必要なのかも確認すると良いですね。

一般的にウイルスはワクチンで予防し、細菌は抗生物質で退治します。狂犬病の他に、犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎も予防が必要と言われていますので、ワクチン接種を忘れずに行いましょう。

犬の感染症の種類

○狂犬病
狂犬病ウイルスに感染することで発症する病気です。

人を含むすべての哺乳類に感染し、発症すると100%近くが死亡に至ります。日本では狂犬病予防法という法律があるので、飼い主さんは年に1度のワクチン接種が義務づけられています。1950年代後半以降は発生が報告されておらず、狂犬病が発生しない国と言われていますが、他の国では現在でも多くの犠牲者が出ています。

狂犬病ウイルスに感染すると、1週間~数カ月で発症します。発症すると脊髄や脳などの中枢神経がおかされ、様々な神経症状が出ます。初期の症状は発熱や緊張などの不安な様子が見られるようになります。

進行すると緊張は挙動不審な動きに変わり、家の中などで隠れたまま出てこなかったり、異常に吠えたり、よだれを垂らしながら徘徊するなどの症状が出ます。性格の変化が見られ、顔つきが険しくなったり、飼い主さんに噛みつくなどの攻撃性が増します。中には便や石を食べるワンちゃんがいるようです。

その後筋肉が麻痺し、水や食べ物を飲み込むことができなくなります。最終的には昏睡状態に陥り、死亡します。

ワンちゃんが発症した際は、10日前後で死に至ります。感染してすぐに麻痺を引き起こして死亡することもあります。

狂犬病ウイルスの感染経路は、感染した動物との接触で生じます。発症した動物の唾液には大量のウイルスが存在するため、噛まれるなどした際に傷口から感染します。

有効な治療は見つかっていませんが、人が感染した際は新しい治療法が開発され、回復したケースがあるようです。一般的にワンちゃんが感染した際は、隔離した後に安楽死させます。

感染した動物に人が噛まれた際は、すぐに予防接種などの治療が必要です。日本では狂犬病予防のワクチン接種は年に1度と決められていますが、海外へ連れて行く際は獣医師の判断で月に1度の接種を複数回行うことがあります。ワンちゃんだけでなく多くの命に関わりますので、忘れずに接種しましょう。

○犬ジステンパー
免疫力が低い子供や老犬に多く見られる、死亡率が高い感染症です。

感染してから1週間前後で発症し、発熱や下痢などが見られます。しばらくすると症状が治まるため、そのまま様子を見る飼い主さんが多く見られますが、再び発熱などを引き起こし、呼吸器、消化器、皮膚や神経などの様々な症状が出ます。

呼吸器の症状は鼻炎や肺炎などが原因で、鼻水や咳などが見られます。消化器の症状は、下痢や嘔吐、腸閉塞を引き起こすことがあります。皮膚の症状は、鼻の頭や四肢の肉球が石のように硬くなったり、腹部などに発疹が見られることがあります。

神経の症状は、ウイルスによって脳炎を引き起こし、顔面や身体の一部に痙攣が見られたり、てんかん発作のような神経症が生じます。まれに失明するなどの重い後遺症が残ることがあるため、予防が大切です。

感染経路は、犬ジステンパーウイルスに感染しているワンちゃんとの接触です。他には、ウイルスが付着した食べ物などから感染することもあります。

有効な治療薬はなく、点滴や抗生物質などを投薬して治療します。自宅では栄養や部屋の温度に気を付け、体力を消耗させないことが大切です。

犬ジステンパーは、ワクチンを接種することで予防できます。ワクチンを打つ前の子供の頃や、ワクチンを適切に打っていないなどが理由で感染することがありますので、必ず接種しましょう。

○犬パルボウイルス感染症
犬パルボウイルスを感染した犬の便や汚染された食器、衣類などにワンちゃんが口や鼻を付けることで簡単に感染します。ウイルスが体内に侵入すると、腸管細胞や骨髄細胞で増殖します。

感染すると2~5日程度の潜伏期間を経て、激しい嘔吐や下痢などの症状が出ます。その後血便が生じ、脱水症状のため衰弱していきます。生後数か月の幼いワンちゃんが発症すると、急性心不全や心筋炎を引き起こすことがあります。

症状が出ると1~2日で急変し死亡する例が少なくありません。完全な治療法はありませんが、脱水症状を改善するために点滴などで栄養補給をします。緊急性の高い感染症の1つですが、ワクチンで十分予防することができますので必ず接種し、他のワンちゃんも一緒に育てている際は隔離するようにしましょう。

○犬伝染性肝炎
犬アデノウイルスⅠ型の感染が原因で、肝臓、腎臓、目に症状を引き起こす病気です。

症状がほとんど出ない軽度のものから、発症してから半日~3日程度で死に至るものまで個体によって異なります。ワクチンを接種する前の幼いワンちゃんは死亡率が高いと言われていますので、特に注意が必要です。

発熱、嘔吐、下痢、腹痛、黄疸、扁桃の腫れや、口の粘膜が充血するなどの症状が出ます。重症の際は高熱が数日続き、脳炎などを引き起こすことがあります。また血便や昏睡、麻痺といった症状が出たり、急性肝炎を併発して死亡することもあるようです。

症状が回復する際は、ブルーアイという目の角膜が青白く濁ることがありますが、緑内障を引き起こすことがあるため注意が必要です。症状がなくなっても半年前後はウイルスが尿から排泄されることがあるので、他にもワンちゃんがいる場合は隔離しましょう。

有効な治療薬はありませんが、抗生物質の投与や食事療法、ビタミン剤の使用などで回復を促します。ワクチンの接種で予防が可能です。

○ケンネルコフ
パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス2型などのウイルスや細菌などの感染によって生じます。病原体は1つとは限らず、2つ以上を混合して感染することがあります。

ケンネルコフは「犬舎で流行するせき」という意味です。咳がメインの症状を引き起こし、「犬の風邪」とも言われています。犬の伝染性気管支炎で、運動をした際に乾いた強い咳が続きます。
微熱を伴うことがあり、鼻水や痰のからみ、発作のような咳をした際に嘔吐することがあります。

通常は1~2週間で回復しますが、幼いワンちゃんや老犬が感染すると肺炎を引き起こす可能性があります。食欲がなくなり、衰弱死に繋がる危険性があるので注意が必要です。

治療は抗生物質や気管支拡張剤などを中心に行います。療養中は保温や換気などをこまめに行い、肺炎などの合併症に気を付けましょう。

ウイルスや細菌の種類によって効果的なワクチンがありますが、完全に症状を抑えることは難しいと言われています。体調が悪い際は、他のワンちゃんとの接触を避けることが大切です。

○犬コロナウイルス感染症
犬コロナウイルスの感染によって生じるウイルス性腸炎です。

成犬が感染しても症状が出ないことがありますが、幼いワンちゃんが感染すると胃腸炎を引き起こし、嘔吐や激しい下痢などの症状が出ます。ひどくなると脱水症状が見られたり、犬パルボウイルスを混合感染するなどして症状が重くなり、死亡することがあります。

コロナウイルスは比較的弱い種類の菌ですが、伝染力が強いため、散歩中に感染したワンちゃんの便を嗅ぐなどして口から侵入したり、脚を舐めるなどして感染します。ワンちゃんを複数育てている際は感染が広がることを防ぐため、すぐに隔離が必要です。

抗生物質の投与などで治療し、二次感染を防ぎます。獣医師に相談のうえ、消化が良く、低脂肪のエサを与えることをおすすめします。ワクチンの接種により、予防することが可能です。

○犬ヘルペスウイルス感染症
生後間もない幼犬に見られる感染症の1つで、死亡率が高い感染症です。

成犬にはほとんど症状がなく、飼い主さんが知らずに感染していることがあります。

感染したメスが症状のないまま出産すると、胎盤や産道を介して子供へ感染するといわれています。発症すると子供は母乳を飲まず、嘔吐や呼吸困難を引き起こします。腎臓や肺、肝臓などが機能しなくなり、短期間で悪化することが多いため治療が難しい病気です。メスが複数の子供を産んだ際は他の子供も感染している可能性が高いので、症状が出ていない子供もすぐに治療を開始します。

○レプトスピラ感染症
ワンちゃんだけでなく、人や他の動物にも感染する病気です。

発症しないこともありますが、急に症状が出た時や重症の場合は2~4日前後で死亡することがあります。

主な感染源はネズミと言われ、レプトスピラ菌に感染することで発症します。ワンちゃんへの感染経路は、ネズミの尿や尿が混ざった水を飲むなどして感染することが多いようです。

いくつか種類があり、嘔吐や脱水、腎炎、口の中や舌の表面に腫瘍ができる「カニコーラ型」と、発熱や嘔吐、食欲不振、黄疸、結膜の充血や歯茎の出血などの症状が見られる「黄疸出血型」があります。

抗生物質で菌を退治したり、他の症状に応じた治療が行われます。ワクチンを接種することで予防に繋がりますが、一般的には1年弱で追加接種が必要です。また菌の型によってワクチンが異なるため、獣医師と相談をすることをおすすめします。お散歩中では不衛生な場所を避け、ネズミが発生している地域では特に注意が必要です。

以上のように、普段の何気ない生活の中でも様々な感染症が存在します。ワクチンは副作用などの問題が指摘されることもありますが、ワンちゃんの健康を維持する上で絶大な効果を得られることが多いです。獣医師と相談し、ワンちゃんに合った予防を計画することが大切ですね。

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