病気・ケガ

【犬の糖尿病】予防法や治療法、費用や合併症について

おいしそうに食べるしぐさが可愛くて、うっかり与え過ぎてしまうペットのおやつ。

食べ過ぎや運動不足から肥満になり、それが原因で糖尿病を引き起こすワンちゃんやネコちゃんが増えていることをご存知ですか?

糖尿病はホルモンの分泌異常で様々な合併症の原因になり、悪化すると死にいたる怖い病気です。

症状が分かりづらいため、異変に気付いた時には重度の糖尿病を患わっていることが多くあります。症状によっては飼い主さんが毎日ワンちゃんの身体に注射をしたり、定期的な治療を続けなければなりません。

糖尿病とはどのような病気なのでしょうか。こちらではワンちゃんの糖尿病について、症状や治療についてまとめてみました。

ご自宅のワンちゃんが健康で長生きできるように、予防と早期発見にお役立てくださいね。

犬の糖尿病について

私たち人間と同じように、ワンちゃんもエサを食べることで生命を維持しています。

エサを食べた後に血糖値が上がり、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、このインスリンの働きによって血液中の糖を細胞へと送ることができます。

糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンが不足することで、血液中の糖が利用できなかったり、高い血糖値の状態が続く病気です。

血糖値を上げるホルモンはいくつかありますが、下げるホルモンはインスリンしかありません。そのため、必要な量のインスリンが分泌されなかったり、分泌速度が遅いことで様々な不調が生じるのです。

症状が進行すると、食欲の低下や体重の減少など明らかな変化がみられ、腎不全や失明、肝臓や膀胱などの病気に発展することがあります。

ワンちゃんの場合はオスよりもメスの方が患いやすく、一般的には8歳前後から発症することが多いようです。

初期の糖尿病では「大量の水を飲む」「排尿量が増える」といった症状がみられます。

これはインスリンが不足することで、体内にたまっている糖を尿で排出しようとするために起こります。

ほとんどのワンちゃんが飲みたい分だけ水を飲むため、飼い主さんも水に関してはあまり気にしていないことが多いです。

ワンちゃんによってはたくさん水を飲んだり、あまり飲まなかったりしますので、普段の飲む量と比べて変化していないかが大切なポイントとなるでしょう。朝水を取り換える際などに、計量しておくと良いかもしれませんね。

また食欲が増加しているのに、体重が減少することも症状の1つです。

また腹部が腫れたり、眼球が白く濁ることがありますので、異変に気付いた際はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

犬の糖尿病予防

糖尿病の主な原因は肥満といわれています。

エサやおやつは種類が豊富なこともあり、ワンちゃんの欲しそうな顔を見るとつい甘やかしてしまう飼い主さんも少なくありません。

しつけができた時にご褒美で与えたり、飼い主さんが食事をしている時にワンちゃんが近くまで来ると、食べられそうなものであれば与えてしまうこともあるでしょう。

スキンシップも大切ですし、決められた時間以外におやつを与えることは楽しいひと時になります。しかし飼い主さんが調節をしなければ肥満へと繋がり、糖尿病の原因になります。

1日に必要な食餌と実際にどの程度与えているのかを、把握しておくと良いですね。

特に複数の家族と同居している際は、家族がおやつを与えていることがあります。おやつの時間や量などを、家族の間で決めておくことも予防につながりおすすめです。

ワンちゃんの体型は種類によって大きく異なるため、ご自宅のワンちゃんが肥満体形であっても飼い主さんが標準だと思っていることが多いといわれています。

ワンちゃんの毎日のエサやおやつは飼い主さんがコントロールしていますから、肥満に気付かなければ解消することは難しいでしょう。

運動量を増やしたり、食餌を変えることがないため、更に肥満になる可能性があります。

「肥満は万病の元」といわれますが、予防することが可能です。

糖尿病だけでなく様々な病気を防ぐことに繋がりますので、ご自宅のワンちゃんの体重や体型が標準であるのか、運動量はどのくらい必要なのか確認すると良いでしょう。

すでに肥満体形である場合は、健康を維持するためにもこのような病気になる前に適正体重にすることをおすすめします。運動する際は、毎日同じ程度の運動量を続けることが大切といわれています。

無理な減量は控え、ワンちゃんの様子をみながら徐々に体重を減らすことが大切ですね。

また、老化や先天性の膵臓の機能不全、ストレスなども糖尿病の原因としてあげられます。

好発犬種はトイ・プードル、カニーンヘン、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、ビーグルの他に、すべての老犬といわれています。

治療方法と費用

ワンちゃんの糖尿病には2種類あり、すい臓が機能せず、インスリンが分泌しないことで生じる「Ⅰ型糖尿病」と、インスリンは作られるが十分に分泌されなかったり、細胞がうまく機能しない「Ⅱ型糖尿病」、ホルモン誘発性の糖尿病「Ⅲ型糖尿病」があります。

ワンちゃんは「Ⅰ型糖尿病」が圧倒的に多いといわれ、「インスリン依存性の糖尿病」と呼ばれています。治療では血糖値をコントロールするために、インスリンが使われます。

内服可能なインスリンがないため、一般的には小瓶などに入っているインスリンと使い捨て注射器を購入し、飼い主さんがワンちゃんに投与します。動物病院によっては注射器にインスリンが入った状態で渡されることもあるようです。

一般的に、治療当初はインスリンの適切な用量を知るために動物病院で入院します。

必要なインスリンの用量が定まった後、自宅療法に移行することが多いです。

エサを食べた後、30分から1時間ほどして投与します。

注射する場所は、おしりや首の中でも肉の薄い部分に打つと負担になりづらいといわれていますが、脚などの場合効果が薄まるという声もあるようです。必ず獣医師の指示に従い、投与しましょう。

毎日同じ場所に針を刺すと、皮膚が硬くなり痛みが増す可能性があります。少しずつ位置を変えることも必要です。投与できる場所もいくつか聞いておくことをおすすめします。

インスリン用の針は通常の注射器に比べ細く作られていることから、大きな痛みはないようです。

飼い主さんにとって痛がるワンちゃんに注射を続けることは心を痛めることですが、打ち方を変えると痛がらないことがあります。ワンちゃんが暴れたりしてうまく刺せない際は、押さえ付けられることを嫌がったり怖がったりしていることもありますので、できるだけ落ち着ける環境を作ることも大切ですね。

中には投与した後、体調に響かない程度に野菜などを与えてご褒美にしている飼い主さんもいます。

糖尿病などの症状をブログで発信している飼い主さんもいますので、長い闘病生活ができるだけ負担にならないように、情報を集めることをおすすめします。

インスリンの値段は7,000円から10,000円前後といわれています。注射するインスリンの量は症状によって異なりますので、毎月の購入が必要な飼い主さんもいれば、2ヶ月に1度の購入で済む飼い主さんもいます。

インスリンには様々な種類があり、経過をみながら量や頻度が変わることがあるようです。

注射器は1回で使い捨てにするタイプや、消毒すれば3回使用できるタイプなどがあり、80円から100円前後といわれています。2度から8度の冷蔵保存が必要のため、野菜室などで冷やして保管をしましょう。

治療費は状態によって変わりますが、ワンちゃんの糖尿病は終生治らないといわれていますので、その分の治療費も準備をしておく必要があります。

また獣医師の指示のもと、食餌の管理やサプリメントの使用、運動や体重管理を徹底します。今まで与えていた食餌を、糖尿病のワンちゃんに向けて開発されたドッグフードに切り替える飼い主さんも多いです。

動物病院やインターネットで取り扱われていますので、ご自宅のワンちゃんにどのようなエサが合っているのか、獣医師に確認すると良いでしょう。

合併症について

代表的な糖尿病の合併症の1つに、糖尿病ケトアシドーシスがあります。

身体が正常に機能している時は糖を主なエネルギーとして活動していますが、糖尿病になると糖を十分に利用できないため、身体の脂肪をエネルギーの代わりに分解するようになります。その際毒性の強いケトン体という物質が血液中に増え、全身の血液が強い酸性の状態になります。口臭や下痢、嘔吐、脱水、昏睡状態などの症状が出始め、悪化すると死に至ります。

糖尿病ケトアシドーシスになると、食欲が減り、水を飲むこともしなくなります。糖尿病の治療が不十分であったり糖尿病に気付かずに放置していると、糖尿病ケトアシドーシスを引き起こす可能性があります。

高度な救急医療を受ける必要があり、治療では即効性のあるインスリンの投与や輸液などを行い、身体を整えます。尿検査などでケトン体が少なくなると一般的な糖尿病の治療へと移行できますが、治療が遅れることで命を落とす危険もある怖いものです。

このような合併症が生じている際は、糖尿病のサインを見過ごしていた可能性があります。

「うちのワンちゃんは元気だから大丈夫」と安易に思わず、時には普段のエサや運動量を見直したり、何か変化がないかをチェックすることが大切です。

毎日の小さな積み重ねによって、大きな病気を予防することができます。

早期発見は早期治療に繋がりますので、愛するワンちゃんのためにも変化を見逃さないようにしましょう。

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