病気・ケガ

猫の呼吸器の病気と治療について

ウイルス感染などが原因で、病気になりやすいネコちゃんの呼吸器。鼻水やくしゃみなどの軽度な症状も、悪化すると出血や呼吸困難進行を招き、命に関わることが少なくありません。

重大な病気が隠れていることがありますので、飼い主さんはできるだけ早く異常に気付くことが大切です。ネコちゃんの状態をよく確認し、他にも症状が見られる際はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

こちらのページでは、ネコちゃんの呼吸器の病気と治療についてまとめました。普段から予防に気を付け、早期発見・早期治療にお役立てくださいね。

鼻炎

鼻炎は、鼻の穴の内側にある粘膜が炎症を起こすことで生じます。

初期の段階では水のような透明の鼻水とくしゃみが出て、常に鼻の周りの毛が濡れた状態になります。悪化すると粘着質な鼻水が出たり、くしゃみの回数が増えます。息苦しいため、常に口を開けて呼吸をするようになります。

ネコちゃんの鼻炎は、ネコ風邪といわれるウイルスや細菌、真菌などの感染によって生じることがほとんどです。他にも花粉やハウスダストなどからアレルギー性の鼻炎を引き起こしたり、鼻の中に腫瘍ができていたり、刺激臭の強いものを嗅いだ際も鼻炎になることがあります。

一般的に鼻炎は様々な原因が考えられるので、状態に合った治療方法を選択するためにも複数の検査が行われます。ウイルスや真菌による感染であれば抗生物質や抗真菌薬を投与します。ダニが原因であれば駆除薬を投与し、他の細菌が原因の場合はそれぞれに合わせた薬剤が選ばれます。

アレルギー反応であればアレルギーを抑える薬に加え、環境を整えることも必要です。腫瘍であれば除去するために手術を行うことがあります。鼻炎は他の病気へと進行する可能性がありますので、初期症状のうちに治すようにしましょう。

副鼻腔炎

鼻の奥にある副鼻腔という空洞が炎症を起こす病気です。

鼻炎より症状が重く膿のような鼻水が発生し、常に内側が詰まるようになります。呼吸がしづらいため、食欲不振を招いたり鼻筋の膨らみや結膜炎を引き起こすことがあります。

副鼻腔炎の主な原因は、鼻炎が悪化して症状が広がることで生じます。抗生物質や抗真菌薬などを投与し、炎症を抑えます。また歯周病が原因で副鼻腔炎を起こすことがありますので、その際は歯周病の治療が中心に行われます。副鼻腔に膿がたまっている際は、チューブなどを使用してきれいに洗い流します。

鼻水は様々な病気の初期症状として見られますが、悪化すると鼻の切開手術が必要になるなど大きな病気につながりますので油断はできません。くしゃみは一過性のものであれば問題ありませんが、繰り返される時は注意が必要です。鼻水やくしゃみが見られた際は、早い段階で治療することをおすすめします。

鼻血

ケガやケンカなどによって、ネコちゃんも鼻の粘膜が傷付き出血をすることがあります。

軽く打ちつけた程度であればすぐに止まりますが、大きなケガを負った際は鼻から垂れるほどの多量の出血が見られ、長時間止まらないことがあります。鼻だけでなく、肺などの呼吸器が損傷している可能性もあります。出血が鼻の中なのか外なのかを確認し、止まる様子がなければすぐに動物病院で治療を受けましょう。鼻血は止血剤や内服薬で治療することが可能です。

また、鼻の下の毛が赤く染まる程度の出血が数日に渡って見られる際は、何かしらの病気を患っている可能性があります。鮮血だけでなく鼻水や膿などに混ざって少量の血液が見られることがありますので、見逃さないようにしましょう。鼻血は真菌などの感染症や血液の病気、免疫の低下やガンなどの重い病気によって生じることがあります。

ネコちゃんの血液量は、体重が5キロの場合300cc程度しかありません。状態によっては命に関わりますので、症状が見られた際はすぐに動物病院に連れて行きましょう。ネコちゃんが鼻から出血をした際、脱脂綿などを詰めると鼻の粘膜を刺激したり傷付けたりして悪化することがあります。鼻の中は触らないようにしましょう。

咽頭炎

咽頭は口の奥や鼻の奥にある、食道へと通じる部位のことです。空気の通り道だけでなく、食べ物を飲み込んだり発声などの役割を担っているため、咽頭に炎症が生じると様々な症状が引き起こされます。

咽頭炎の初期の段階では軽い咳が生じる程度ですが、悪化するにつれて咳の回数が増え、首のリンパが腫れたり声が出なくなることがあります。他にも喉の痛みから食欲の低下に繋がったり、よだれが見られることがあります。また、重度になると呼吸困難を引き起こします。

咽頭炎の多くはウイルスなどの感染ですが、他の病気に影響を受けて発症することもあります。また、喉に異物があって咽頭炎を引き起こすことがあり、その場合は除去するために手術が必要になることがあります。状態によっては吸入器を使用し、炎症を抑える治療を施します。有害ガスや薬品などを吸ったために咽頭炎が生じることがありますので、自宅内の環境も整えるようにしましょう。

治療中は喉に負担のかからないように、室温や湿度に注意することも大切です。エサはネコちゃんが食べやすいように柔らかいものを選んだり、細かくして与えると良いでしょう。ウイルスなどの原因であればワクチンなどで予防できる種類がありますので、再発を防止するためにも獣医師に相談することをおすすめします。

気管支炎

気管支炎は、喉から肺へと繋がる気管に腫れなどの炎症が生じる病気です。炎症によって空気の通り道がせまくなるため、咳が生じたり、食べたエサを嘔吐することがあります。

気管支炎の多くは、ウイルスや寄生虫、細菌などの感染によって引き起こされます。治療の際は抗生物質や駆除薬の投与を中心に行い、必要があれば吸入器を使用して症状をやわらげます。他の病気が原因で気管支炎が生じている際は、それらの病気を治療することが必要です。気管支炎の症状を抑えるために、咳止めや気管支拡張薬が処方されることがあります。

喉や胸に痛みがあるため、ネコちゃんによっては触られることを嫌がります。首輪などを付けている場合ストレスに繋がることがありますので、治療中は外すことをおすすめします。

肺炎

肺炎は、呼吸の働きを担っている肺が炎症を起こす病気です。

ウイルスや細菌、真菌、寄生虫などの感染によって生じたり、別の病気が悪化することによって肺炎に繋がることがあります。進行が速く、呼吸器の中でも重症化することが多いです。呼吸困難を招くなどし、命に関わりますので早急に動物病院へ連れて行きましょう。

他の病気によって肺炎が生じている際は原因となっている病気を治すことが大切です。抗生物質、抗菌薬、抗真菌薬、駆除薬などの投与を中心に治療を行い、状態によっては吸入器で薬剤を吸引させます。咳を抑える咳止めや、気管支拡張剤が処方されることもあります。

喉に負担をかけないように、温度や室温を一定に保つことが大切です。興奮やストレスも負担に繋がりますので、自宅内の環境を整えて安静にさせましょう。

気胸

気胸とは胸の中に余分な空気がたまり、肺が十分に機能できず呼吸困難を招く病気です。

初期症状では運動することを嫌がり、少し動いただけでも呼吸が荒くなります。悪化するとよだれを垂らしたり、吐血するなどの症状に繋がります。

気管支炎や肺炎などが原因で肺や気管が弱っている際は、激しい咳込みなどの刺激によって呼吸器に穴があき、気胸を引き起こすことがあります。また炎症や腫瘍などが肺の中で生じた際も、気胸に繋がります。

気胸の治療方法はネコちゃんの状態によって様々です。他の病気によって気胸が生じている際は、原因となる病気を治療します。症状が軽度であれば内科治療で治りますが、重度であれば手術が必要です。

手術は針などで穴をあけて空気を出したり、胸を切開します。ネコちゃんが自力で呼吸ができるまで酸素吸入を施したり、空気を出すため胸の中にチューブを入れることがあります。

膿胸

膿胸は細菌が感染するなどして、肋骨の内側にある胸腔内に膿がたまる病気です。発熱や常に呼吸が荒くなるなどの症状があらわれ、膿がたまるにつれて状態は悪化していきます。

感染の他に、すでに発症している病気などの影響で菌が胸腔内に侵入すると膿がたまることがあります。酸素が十分に取り込めないため、口の中が紫色に変色します。

治療の際は胸腔内に穴をあけ膿を取り出し、洗浄します。膿の量によっては一度で取り出せないため、数日に渡る治療が必要です。抗生物質などの内科療法も合わせて行います。

以上のように、軽度の症状が悪化するなどして、重大な病気を引き起こすことがあります。鼻水や咳などの症状が見られた際は、特に注意が必要です。軽いうちに治療を開始することは、ネコちゃんの負担を軽減することに繋がります。食欲や排泄物などから他の症状がないかを確認し、症状が見られた際は動物病院へ連れて行くことをおすすめします。

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