病気・ケガ

犬の呼吸器の病気と治療について

生命を維持するために大切な呼吸器。

「少し動いただけなのに、以前に比べて息があがるようになった」

「運動を嫌がるようになった」

ご自宅のワンちゃんに、このような変化が見られたら病気のサインかもしれません。呼吸器の病気は慢性化したり、早急な治療が必要なものまで様々な種類が存在します。悪化すると命を落とす可能性がありますので、咳や鼻水、呼吸の仕方がいつもと違うなどの症状が出た際はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。

こちらのページでは、呼吸器の病気と治療についてまとめました。病気の早期発見にお役立てくださいね。

鼻炎

鼻炎とは、鼻の中の粘膜に炎症が生じることを指します。

初期の段階では水のようなサラサラしたものから粘り気のある鼻水が発生し、他にも息が荒くなったり、くしゃみや鼻づまり、目ヤニなどの症状現れます。呼吸がしづらいため常に口が開いた状態になり、いびきをかいたような呼吸音が生じることもあります。息苦しい状態が続き、運動を嫌がったり食欲の低下に繋がりますので、悪化する前に診断することが大切です。

鼻炎が生じる原因は様々なことが考えられます。ウイルスや真菌感染の初期症状、アレルギー性鼻炎の他に、ダニなどの寄生虫や鼻の中に腫瘍ができていることも原因の1つとして考えられます。

ウイルスや真菌感染が原因で生じている際は、抗生物質や抗真菌薬を投与します。アレルギー性鼻炎はステロイド製剤の投与を行うことがありますが、根本的な原因を見つけ対処することが必要です。ダニなどの寄生虫による鼻炎は駆除薬を投与します。

また呼吸困難が生じているなど、ワンちゃんの状態によっては吸入器を使用します。薬剤を用いて鼻や喉の炎症を抑えることもあります。

副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔に炎症が生じることを指します。くしゃみといった鼻炎の症状に加え、膿性の鼻水が出たり、皮膚の上から鼻の上を触ると膨らんでいることがあります。

副鼻腔炎は鼻炎が慢性化したり、炎症が奥まで広がることで引き起こされることが多く見られます。他には、歯周病の影響や腫瘍が原因で生じることがあります。

他の病気の影響で発症することが多いため、原因となる病気を優先的に治療します。治療の際は、抗生物質や消炎剤などの投与や、消炎剤を用います。すでに呼吸困難が見られる際は吸入器を使用し、鼻や喉の炎症を抑えます。状態によっては鼻の皮膚の上から穴を開け、副鼻腔を洗浄するなどの手術が必要です。鼻炎など、他の病気を長引かせないことが大切です。

喉頭麻痺

喉頭麻痺とは、息を吸い込む時に通常であれば開くはずの喉が、麻痺によってうまく開かず空気を吸い込むことが困難になる病気です。気道が狭まるため声が変わったり、呼吸をする際にヒューヒューといった呼吸音が鳴ります。運動を嫌がり、体温の調節がしづらくなるため熱中症を引き起こすこともあります。夏場に散歩をする際は特に注意が必要です。

喉頭麻痺の原因は、神経や筋肉の障害、遺伝などの先天的な要因が考えられます。すでに呼吸困難や酸欠による失神が生じている場合は、酸素吸入や声帯、喉頭部を切除したり広げたりする手術を施します。首輪を付けている場合はハーネスに切り替えることをおすすめします。激しい運動や暑い場所を避け、安静に過ごすことが大切です。

喉頭麻痺は大型犬に多く見られ、先天性の場合は生後一年以内に発症すると言われています。ご自宅のワンちゃんの呼吸や鳴き声に変化が現れた際は、状態を把握するためにも早めに診断をしましょう。手術が必要なのかを獣医師と相談をし、生活環境を整えるためにアドバイスを受けると良いでしょう。

気管支炎

気管支炎とは、喉と肺をつなぐ気管に炎症が生じる状態を指します。気管の内部が腫れあがるため乾いた咳が生じ、悪化すると嘔吐するような咳や呼吸困難が見られるようになります。吐き気と間違えやすいため、誤診につながらないよう注意が必要です。運動をすることを嫌がり、食欲不振が生じるため免疫力の低下を引き起こします。慢性化する前に治療し、他の病気を併発させないようにしましょう。

気管支炎の原因は、ウイルスや細菌による感染症や寄生虫が気管に侵入したり、歯周病などの別の病気によって生じていることがあります。ウイルスや細菌による感染症が原因であれば抗生物質などを投与し、咳止めや炎症を抑える薬を使用します。別の病気が原因の場合はその病気を優先的に治療します。

散歩を控え、自宅では安静に過ごすことが大切です。ワンちゃんが肥満傾向にある際は症状の悪化を招きますので、食餌のコントロールも必要になります。運動も困難になる状況ですので、更なる肥満を防ぐためにも獣医師に相談すると良いでしょう。

気管支拡張症

気管支炎の症状が続いたため、気管支が少しずつ拡張する病気です。内部の壁が広がったままもとに戻らず、浄化しづらいために膿性の痰が現れます。湿った咳が続き、悪臭のある膿状の唾液が出て、息苦しい様子が見られます。

治療の際は痰を取るために吸入器を使用します。手術によって治ることもありますが、薬剤を使用して治療することが一般的です。気管支炎を悪化させないよう、医師の指示に従い完治するまで通院しましょう。早期発見、早期治療が大切です。

肺炎

呼吸器の症状の中で、肺炎は緊急性の高い病気の1つです。浅い呼吸を繰り返すようになり、発熱や呼吸困難へと急変することがあります。他にも食欲不振や吐き気などが現れることもあります。苦しそうに首を伸ばして息をする際は呼吸困難が生じている可能性がありますので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

肺炎は急性と慢性の症状に分かれ、様々な原因が考えられます。ウイルスや細菌、真菌、寄生虫による感染や、有毒ガスの吸引、アレルギーなどによって生じます。また誤嚥といった、エサを飲み込む際に誤って肺の方へ入り込むなどして炎症が生じ、肺炎を引き起こすこともあります。誤嚥は老犬に多く発生し、その際はもがくように苦しむ状態となります。エサが食べづらいことがありますので、内容を見直すことも必要です。

原因やワンちゃんの状態によって治療方法が異なります。すでに強い呼吸困難が見られる際は、酸素吸入を行います。その上で原因に合った投薬を行い、炎症を抑える炎症剤を内服させることが一般的です。吸入慮法を用いて、薬を吸い込ませることもあります。肺炎を患っている際は肺に負担をかけないよう、安静に過ごすことが大切です。

肺水腫

肺水腫は急性の場合、死にいたる怖い病気の1つです。肺の中に水が溜まり、呼吸がスムーズにできなくなります。初期症状では咳や苦しそうな呼吸を繰り返し、泡状の鼻水が発生することがあります。更に進行するとよだれや血液の混じった鼻水、チアノーゼが見られ、座りこんで息をしたり落ち着かない様子が見られます。

肺水腫は、心臓の異常が原因で発症することが多いです。他には肺炎や熱射病、有毒ガスの吸引が原因になることがあります。

治療の際は、呼吸困難が見られるのであれば安静にして酸素を吸入させます。肺に溜まった水を除去するために利尿剤を投与したり、気管支を広げる薬を使用します。肺水腫は他の病気が原因で発症していることが多いため、それらの病気の治療することも大切です。ワンちゃんの状態によっては塩分を控える必要がありますので、食餌については獣医師にアドバイスを受けることをおすすめします。

気胸

気胸は胸の中に余分な空気が入り込んでしまうことで、呼吸をする際に肺が正常に広がらなくなる病気です。肺の機能が制限されるため、浅い呼吸を繰り返したり、呼吸困難を引き起こします。よだれを垂らしたり、運動を嫌がるなどの症状が現れ、胸に痛みがあることから触れることを嫌がることがあります。また、症状の程度によってはショック死を招くことがあります。

気胸を患う原因は、何かしらの理由で肺に穴が開くことで生じます。激しい咳込みなどで肺に負担がかかり、炎症や腫瘍などが傷ついて穴が開いたり、事故などによって気管や胸部が損傷することです。肺炎や気管支炎などで肺の内部が弱っていると、穴が開く原因に繋がります。

治療の際は、気胸を起こしている肺の場所やその他の異常を確認します。溜まっている空気を抜き、ワンちゃんに呼吸困難が生じている際は酸素吸入などを施します。重度であれば開胸手術や胸腔内にチューブを通すなどの処置が行われます。気胸は軽度であれば数日で改善できることがありますので、早めに動物病院へ連れて行きましょう。

胸水

胸水とは、心臓や肺を包んでいる胸膜に体液が溜まってしまう病気です。肺が正常に広がらないため食欲不振や運動を嫌がり、呼吸困難などの症状を引き起こします。呼吸が不十分のため、舌が変色することもあります。

胸水が生じる原因は、心臓の病気や腫瘍、リンパ管の異常、細菌感染など様々なことが考えられます。他の病気が原因である場合は、その病気の治療を施します。

状態が軽度であれば抗生物質などを投与し、合わせて水を抜くために利尿剤や血管拡張剤などを使用します。重度の場合は針やチューブなどで水や膿を取り除くなど手術が必要です。投薬による処置が一般的ですが、ワンちゃんの状態によっては定期的な処置が必要のため、長引いて衰弱するようであれば早めに手術を行います。治療方針について獣医師と相談することが大切です。

以上のように呼吸器の病気は、元気がなくなる、食欲不振などが生じることが多いため、比較的気付きやすい病気です。普段からコミュニケーションをとり、動きが鈍かったり、少し動いただけで呼吸が荒くなる際は病気を疑う必要があります。ご自宅のワンちゃんが健康で長生きするためにも、病気にならないように予防し、早期発見・早期治療を心掛けると良いですね。

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